【 民族 】黄金の床几(椅子)はアシャンティ族の象徴?5分でわかるアフリカの民族

みなさんは、ガーナに住む 民族 であるアシャンティ族を知っていますか?

1800年頃、黄金と奴隷貿易によりアシャンティ王国として栄えた話は有名ですが、その伝統や文化は今でも世界中に注目されています。

今回は、そんなアシャンティ族について紹介していきます。

アシャンティ族

アシャンティ族は主にアシャンティ地方に住んでおり、特にこの地方の最大都市であるクマシという都市圏に集中しています。アシャンティ地方は、金の延べ棒とカカオの生産地として知られています。

アシャンティ王国の首都だったクマシの由来

クマシの風景

伝承によると、17世紀の終わり頃、「クム」の木が三箇所に植えられました。そのうちの一つが大きく成長し、王とその民が頻繁に集まる場所となりました。その場所を「クマシ」(クムの木の下)と呼ばれるようになりました。

アシャンティ族はガーナの最大の部族であり、トウィ語を話します。また、アシャンティ族は西アフリカでは数少ない母系制を採用した社会を形成しています。

アシャンティ族の氏族

アシャンティ族には、オヨコ・ブレトゥオ・アゴナ・アソナ・アセニエ・アドゥアナ・エクオナ・アサキリ、という8つの氏族(クラン)があります。

各氏族は、それらの先祖が建設した町を持っており、各氏族長がその町の最高責任者となります。この氏族長は氏族の男性から選出されます。

各氏族にはそれぞれ特徴と象徴があり、以下の通りになっています:

  • アソナ氏族:この氏族が八つの中で最も大きく、カラス又はイノシシを象徴としています。アソナ氏族の特徴(大切にすること)は知恵です。
  • オヨコ氏族:この氏族は度々アサンテヘネ(アシャンティ王)を輩出しており、タカを象徴としています。その特徴は忍耐です。
  • ブレトゥオ氏族:この氏族はヒョウを象徴としており、その特徴は積極性と卓越した勇気です。
  • アゴナ氏族:この氏族は団結性が最も強いとされており、他の氏族はこの氏族との争いを特に避けるようにするという伝統があるそうです。オウムを象徴としており、特徴は雄弁さです。
  • アセニエ氏族:この氏族はコウモリを象徴としており、その特徴は勇気と外向性です。
  • アドゥアナ氏族:この世が創造された時、この氏族の祖先は金の鎖を使って天から舞い降りてきたとされています。イヌを象徴としており、その特徴は実直さです。
  • エクオナ氏族:アシャンティ族で最も少数であるこの氏族は、バッファロー(水牛)を象徴としており、誠実性が特徴となっています。
  • アサキリ氏族:神によって最初に創造されたと主張しているこの氏族は、ハゲワシを象徴としており、その特徴は美しさと忍耐です。

アシャンティ族の社会

アカン族の信仰では、身体は血と魂の二つの要素から成り立っています。この信仰により、アカン族は両親との関係をとても大切にし、自分の身体のすべてが両親から受け継がれると信じています。

アシャンティ族にとって、家族と母方の氏族は最も大切にすべきことだと言われています。その理由として、自分の身体の半分である魂は父親から受け継ぎ、血肉は母親から受け継ぐと考えられているからです。つまり、自分の血肉を受け継いだ母親の氏族との結びつきが自然と強まるとされています。

アシャンティ族の女性 – SouthWorld

このようなことから、上述したように、アシャンティ族は母系制を採用した社会を形成しており、遺産は母から子へと継がれます。黄金の床几もまた、母系を通じて王の母方の甥へと受け継がれます。これはつまり、母系制であるため、相続や継承、又は個人の地位が母方の血統によって決まるということになります。

また、アシャンティ族は家族を重んじる文化があることから、夫婦やその子どもにとどまらず、祖父母や叔父、叔母なども一緒に暮らす拡大家族(大家族)として生活することが多いです。

アシャンティ族の文化

床几(椅子)の重要性

アシャンティ族は様々な儀式を行います。それらは人生の節目や自然への感謝のために行われることが多いです。具体的には、子どもの出生の時、成人式、結婚式、葬式、または豊作や凶作の時などです。

この儀式や伝統の中で重要とされる価値観が床几(椅子)の存在です。この床几はほとんどの儀式で使われ、度々子どもに贈られます。そのため、ほとんどの家族が床几を持っています。この床几は、後ほど説明する黄金の床几に因んでおり、権威を象徴するとされています。

どのような時に床几が使われるかというと、まず、赤ちゃんがハイハイをし始めたら床几が赤ちゃんに贈られます。また、若い女性は思春期を迎えると、このことを祝うために儀式を行い、その際に持っている床几に座ります。他にも、結婚式の際には夫が妻に床几を提示する必要があり、葬式の際には故人は床几に座らせ、埋葬する前に水で清められます。

このように、床几というのはアシャンティ族の信仰や文化において非常に重要な存在であり、人の魂と権威を象徴する存在だとされています。

黄金の床几の伝説とは?

黄金の床几 – BlackPast

伝説によると、黄金の床几は天から、アシャンティ王国の初代王であるオセイ・ツツの膝元に舞い降りたとされています。このことから、黄金の床几は王の象徴として捉えられており、王だけが座ることが許されている床几として代々伝わりました。現在では、この黄金の床几は王室の権威や王国の統一を表しています。

アシャンティ族の伝統衣装「ケンテ」

アシャンティ族には、伝統的な衣装である「ケンテ」と呼ばれる布があります。このケンテは、多くのお祝い事で着用される神聖な布であるとされています。このことから、王や首長は普段からケンテを着用しています。この慣習は初代王オセイ・ツツ1世により定められ、王以外の人はお祝いの時にしかケンテを着用することができないとされています。

ケンテは主に年に一回の大祭や各季節のお祭りなどで着用され、様々な色が布に使われます。その中でも、代表的な色はそれぞれ意味を込めて使われます。例えば、黄色は美・豊作・高貴・王族・富などの意味で使われ、金色は栄光・地位・純白などの意味で使われます。

ケンテを着用している男性たち – SouthWorld

アシャンティ族の宗教観

アシャンティ族には代々伝わる伝承や伝説が残されており、その多くは住む土地や伝統、文化に対する深い尊敬の念を表すものとなっています。

その中でも、古くから信仰されている伝統的な宗教は自然と魂の調和が中心となっております。アシャンティ族は、万物、特に動物や樹木に魂が宿っていると信じています。また、魔術や森の妖精など、調整全的な存在の地からも信じています。

現代のアシャンティ族の中には、一神教であるイスラム教やキリスト教に改宗している人もいます。しかし、今でも祖先や森の神、精霊などに尊敬の念を払い、伝統的な宗教を信仰している人々は多くいます。

アシャンティ族は何を食べるの?

アシャンティ族の多くは、プランテン・キャッサバ・トウモロコシ・カカオ・野菜、穀物・豆類・ヤムイモなどを栽培しています。伝統料理としては、キャッサバなどから作られるフフや、ヤムイモを使って作られるポトポトがあります。

まとめ

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最後までお読みいただきありがとうございました!

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