みなさんは、ガーナの歴史の一つであるアシャンティ王国についてご存知でしょうか?
アシャンティ王国はアシャンティ族によって建国された王国であり、黄金と奴隷によって繫栄したとされています。
今回はそんなアシャンティ王国の歴史について紹介しようと思います。
なぜアシャンティ族と呼ばれるのか
アシャンティ族、時にはアサンテ族と呼ばれるこの民族は、11世紀から13世紀にかけて現在のガーナの森林地帯に定住したアカン語を話す民族の一つです。アシャンティ族はサヘル地帯およびアフリカのサハラ砂漠地域から現在のガーナや西アフリカの他地域へ移動したと考えられています。

「アサンテ」とは「戦争のため」という意味を持ちで、この呼び名は1701年に誕生しました。これは、アシャンティ王国の王であるアサンテヘネ(アシャンティ王)オセイ・ツツ1世が周辺国家を征服し、デンキラ王国に勝利した時代でした。

1800年代初頭、イギリスがアシャンティ王国に侵攻した際、現地の言語を英語に翻訳する必要がありました。その結果、アシャンティの名前は「as-hanti」と翻訳されました。後にイギリス人は、「ashanti」(アシャンティ)という呼び名にしました。なので、現在の呼び名であるアシャンティ族は、元々の語源では「アサンテ族」と呼ばれていました。
アシャンティ王国の旗

アシャンティ王国の旗は、主に3つの色を使用しています。黄色はアシャンティ王国の黄金や鉱物の豊富さを、黒はアシャンティ王国の人々の色を、緑はアシャンティ王国の森林を表しています。また、真ん中のシンボルはゴールデン・スツールと呼ばれる、いわゆる黄金の床几であり、18世紀以降、国の統一と王室の権威の象徴とされていました。
アシャンティ王国の歴史
アシャンティ王国の誕生と成長
アシャンティ族の国はいくつもありましたが、1670年代にオセイ・ツツにより一つの王国として統一されました。そして、1696年にオセイ・ツツはアサンテヘネ(アシャンティ王)になり、アシャンティ王国を建国しました。
アシャンティ王国は周辺国家と同盟を組むことにより、急速に国力を高め、1700年頃にはその影響により、「アシャンティ連合」を形成しました。
オセイ・ツツは首都クマシを建設しました。また、彼は黄金の床几の伝説を作り、その話を国民に広めました。この伝説により、王の座はオセイ・ツツにしか相応しくないと人々は考えました。これにより、1750年にはアシャンティ王国はこの地域で最大の国家となりました。
黄金の床几の伝説とは?

伝説によると、黄金の床几は天から、アシャンティ王国の初代王であるオセイ・ツツの膝元に舞い降りたとされています。このことから、黄金の床几は王の象徴として捉えられており、王だけが座ることが許されている床几として代々伝わりました。現在では、この黄金の床几は王室の権威や王国の統一を表しています。
アシャンティ王国は金の採掘と奴隷貿易により栄えました。また、木彫りや家具、そして色鮮やかな織物である「ケンテ」により周辺国から有名になり、貿易が活発になりました。この繁栄により、アシャンティ王国は拡大し続け、オセイ・ボンスの時代(1801年∼1824年)には、現在のガーナのほぼ全域まだ領土を広げました。


アシャンティ王国の弱体化と滅亡
1807年、イギリスは奴隷制を認める法律を打ち出し、植民地化を本格的に始めました。これに伴い、19世紀頃にアシャンティ王国はイギリスと何度も戦争を繰り広げました。アシャンティ王国はイギリスに何度も敗北し、徐々に弱体化、縮小していきました。

アングロアシャンティ戦争(イギリスアシャンティ戦争)の様子 – The Graphics
1896年の国王ナナ・プレンぺ1世の逮捕と、1900年の女王ヤー・アサンテワ率いる蜂起を最後に、アシャンティ王国はイギリスに完全に敗北してしまいました。1902年、イギリスはアシャンティ王国の領土をイギリスの直轄植民地(クラウン・コロニー)に指定しました。


アシャンティ王国の現在
1924年、逮捕されていた国王ナナ・プレンペ 1世は旧アシャンティ王国の首都であるクマシに戻ることを許され、1926年に再び黄金の床几の占有者として王の座に復位しました。
1931年、亡くなった国王ナナ・プレンペ1世の後継者として甥であるナナ・オセイ・アジェマン・プレンペ2世が選出されました。その後も代々と王の座は受け継がれました。 現在の王であるオセイ・ツツ2世は第19代のアサンテヘネ(アシャンティ王)として王の座を維持しています。
このように、現在でもアシャンティ王国は第19代の王の下、ガーナ共和国政府が認める正式な立憲君主制王国としてガーナ共和国内に存在しています。

まとめ
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最後までお読みいただきありがとうございました!
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