事実:アフリカでは心臓病と脳卒中が主な死因となっている。
みなさんはHIV およびエイズ、または戦争や紛争がアフリカの人々の主な 死因 だと思っていませんか?その認識、実は間違いなのです。
ということで、今回はアフリカの人々の主な死因について詳しく説明します。
アフリカでの主な 死因 とその原因
アフリカの主な死因は心臓病と脳卒中です。
これは世界各国で主な死因となっており、アフリカでも同様なのです。
近年のアフリカではこういった非伝染性疾患(NCDs)が主要な死因として急増しており、2000年の24%から2019年には37%にまで増加しています1。これらの疾患は、高血圧、不健康な食生活、肥満、運動不足、タバコの使用などのリスク要因によって引き起こされることが多いです。
逆に、HIV/エイズ患者へのケアが驚くほど改善され、2010 年頃以来、HIV/エイズがアフリカの主な死因ではなくなりました2。また紛争などの死亡者数と比較しても、非伝染性疾患(NCDs)で亡くなる人のほうが多いのです。
実際に、1994年に起きたルワンダ虐殺という、10日間で80万人以上の民間人が死亡した内戦のときでさえ、紛争による死亡(6%)が心血管疾患による死亡(11%)を超えることはなかったのです。
NCDsとは、世界保健機関(WHO: World Health Organization)の定義で、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したものである。
感染症が引き続き大きな健康上の課題であることも事実ですが、アフリカでは急速な都市化・生活様式の変化・経済的発展により、心臓病や脳卒中などの非伝染性疾患の発生率が増加しています。
非伝染性疾患に対処するためには、リスク要因の低減、早期発見の強化、適切な治療へのアクセスなどが重要です。コロナウィルスパンデミックによるヘルスケアサービスの中断も、NCDsに対する進展に影響を与えています。
ちなみに、エイズ自体が直接死に至る原因ではありません。エイズはHIVによって引き起こされ、免疫システムを破壊します。これにより免疫力が著しく低下し、患者は様々な感染症やがんなど、普通ならば健康な免疫システムが対処できる病気に対して非常に脆弱になり死に至ることが多いのです。
認識を変えたほうが良いことは?
私たちは、メディアでアフリカの混乱と苦しみの映像を見ることに慣れすぎているために、それが10億人の大陸全体の経験であると思い込んでいます。しかし、これは人々が HIV/エイズの治療薬へのアクセスにおける驚異的な改善を見逃していることを意味します。3
日本はどうなの?
2023年時点での日本の主な死因は、主に以下のような疾患や要因によるものです。
- がん(癌):日本ではがんが最も多い死因となっており、特に肺がん、胃がん、大腸がんが多いです。
- 心疾患:心不全や虚血性心疾患など、様々な心疾患が死因となっています。
- 脳血管疾患:脳卒中などの脳血管疾患も主要な死因の一つです。
- 老衰:高齢化社会である日本では、老衰による死亡も増えています。
- 呼吸器疾患:肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器系の疾患による死亡も見られます。
これらの死因は、日本の高齢化社会やライフスタイルの変化などに関連しています4。
日本の平均寿命は世界でも非常に高いレベルにあります。これは、日本の高度な医療技術、健康への意識の高さ、バランスの取れた食生活などによるものです。しかし、平均寿命の延長とともに、慢性疾患の増加や高齢化社会に伴う健康問題も顕著になっています5。日本では、健康寿命を延ばすための取り組みも進められており、予防医学や健康増進の重要性が高まっています。
先進国と発展途上国の死因に関する相違点と類似点
相違点
- 死亡率の年齢分布:先進国では高齢者の死亡率が高く、老齢関連の疾患が多いです。一方、発展途上国では若年層の死亡率が相対的に高く、栄養不良による死亡が一般的です。
- 医療アクセスと資源の不均等:先進国では一般的に、高品質な医療サービスへのアクセスが広くあります。一方で発展途上国では、医療アクセスが限られており、特に農村部では医療資源が不足している場合が多いです。
- 保健システムの課題:先進国では高齢化に伴う健康問題や慢性疾患の管理が主要な課題です。発展途上国では基本的な健康ケアの提供、感染症の予防と治療、栄養改善が緊急の課題です。
類似点
- 公衆衛生と予防の重要性:両地域において、疾病の予防と公衆衛生の改善が重要な課題です。ワクチン接種、衛生環境の改善、健康教育などが共通の取り組みとして行われています。
これらの相違点と類似点は、各国の経済的、社会的、文化的背景、また、世界的な健康問題や国際的な支援の方向性によって左右されます。
まとめ
正しい情報を身に着け、自らの固定概念をアップデートさせることで、世界を前向きに見ていきましょう。
今日の事実:
- アフリカにおいて、最も多い死因は心臓病と脳卒中であり、エイズ等の感染病や紛争による死などではない
- 日本などの先進国では、最も多い死因はがんや心疾患などであり、アフリカの死因に類似している
いかがでしたでしょうか?アフリカについてより多く知りたいと思った人はぜひ、他の記事も読んでみてください
脚注
- WHO Africa – Deaths from noncommunicable diseases on the rise in Africa | WHO | Regional Office for Africa ,
IHME – VizHub GBD Results ↩︎ - Our World in Data – Causes of Death – Our World in Data ↩︎
- GapMinder – Common misconceptions about Africa ,
HISTORY – Rwandan Genocide – Facts, Response & Trials ↩︎ - 厚生労働省 – 令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 ↩︎
- Our World in Data – Causes of Death – Our World in Data ↩︎
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