事実:サハラ以南アフリカの研究者の約30%は女性です。
アフリカではまだまだ女性差別もひどく、女性は育児や家事ばかりで、仕事をする人なんてほとんどいないと思っていませんか?
その認識、実は間違いなのです。
ということで、今回はアフリカにおける女性研究者の割合についてご紹介します。
サハラ以南アフリカの女性研究者
サハラ以南アフリカの研究者の約30%は女性です。
世界の研究者の約30%は女性なので、科学研究に関して言えば、サハラ以南アフリカの男女格差は世界的な男女格差と同様です。
UNESCOによると、南アフリカでは2015年以降、研究者全体の45%を女性が占めています。
モーリシャスも2015年には男女比が50対50で、セネガルでは2006年から2015年にかけて研究者に占める女性の割合が10%から29%に上昇したのです。
しかし、サハラ以南アフリカの女性は科学、技術、工学、数学(STEM)分野でのキャリアを発展させる際に、先進国の女性よりも大きな障害に直面しています。それは、資金不足の問題です。出産、育児休暇、授乳のためにキャリアから離れる必要があることや、家庭や育児に関する責任の大部分を負うことも挑戦の一つです。
さらに、一部の女性は、男性と同じペースで研究成果を発表し、同様の研究資金や設備を獲得しているにもかかわらず、昇進が遅れています。その理由は様々ですが、旧式の評価基準に基づいていることが多く、例えば育児休暇による出版や資金調達の記録のギャップに対する調整が行われないことがあります。ジェンダーギャップは縮小していますが、世界経済フォーラムによると、現在のペースではサハラ以南アフリカでの完全な解消には95年かかると予測されています。
それでも、アフリカ全土にわたる取り組みが女性科学者のシステム上の様々な課題に対処しています。
例えば、ナイロビに拠点を置く「アフリカ先進研究トレーニングコンソーシアム(CARTA)」は、228人の博士課程および博士研究員を支援し、その57%が女性です。また、「アフリカ数学科学研究所(AIMS)」は、集中的な数学修士プログラムで約2,500人の学生を訓練し、そのうち800人以上が博士号を取得しています。AIMSの卒業生の3分の1は女性です。
これらの情報から、アフリカにおける女性研究者の割合の増加と進歩は、彼女たちの持つ才能と持続的な努力、および教育と研究へのアクセスを改善するための継続的な取り組みによってもたらされていることが分かります。
認識を変えたほうが良いことは?
アフリカのジェンダーの平等の進歩や、他の多くの開発分野の進歩に気づいていない人が多くいます。もちろんサハラ以南のアフリカにおける女性研究者の割合は国や地域によって異なり、一概には言えない状況です。しかし、男女平等に向かって他の国と同様に着実に進歩しているのです。
日本の女性研究者
日本における研究者に占める女性の割合は、2020年3月31日時点で16.9%です。
これは緩やかな上昇傾向にあるものの、諸外国と比較して依然として低い水準です。所属機関別に見ると、企業・非営利団体では10.3%、公的機関が19.5%、大学等が27.8%で、いずれにおいても女性の割合が低くなっています。専門分野別では、薬学・看護等の分野では女性が半数以上を占めるものの、工学分野は11.9%、理学分野は15.1%となっており、特にSTEM分野における女性の比率は低いことが分かります。
日本は科学・技術・工学・数学(STEM)分野において、OECD加盟国の中で女性専門職の割合が最も低い国の一つです。2020年のグローバル・ジェンダー・ギャップ・レポートによると、日本のジェンダーギャップは先進国中で最も大きく、経済活動への参加と機会、政治的エンパワーメントの低さが主な要因とされています。上級職や指導的地位における女性の比率はわずか15%と低いです。
しかし、1995年以降、日本政府は科学技術基本計画を通じて、女性研究者の比率を段階的に上げるための施策を取り入れてきました。その結果、STEM分野における女性研究者の比率は1996年の9.3%から2019年には16.6%に増加しました。これは、日本の文化や習慣が変化していることを反映しており、例えば、テレビコマーシャルにおいて男女共同で家事をするシーンが増えていることなどがその一例です。
さらに、欧米諸国と同様に、日本でも研究者に占める女性比率はアカデミックなキャリアの階段を登るにつれて減少しています。この背景にはワークライフバランスの問題や、不平等で偏った業績評価プロセスなどがあります。女性研究者の30%以上が評価者に男性を優先する傾向があると感じています。
これらの情報から、日本では女性研究者の割合が着実に増加しているものの、依然として多くの課題が存在していることがわかります。政府の施策と社会的な意識の変化が、今後の女性研究者のさらなる進展に重要な役割を果たすでしょう。
日本、そしてアジアで初めてノーベル化学賞を受賞したのは、日本人の福井謙一博士です。彼は1981年に、物質が化学反応を起こす際の電子の役割を説明した「フロンティア電子軌道理論」により、ノーベル化学賞を受賞しました。
まとめ
正しい情報を身に着け、自らの固定概念をアップデートさせることで、世界を前向きに見ていきましょう。
今日の事実:
- サハラ以南アフリカの研究者の約30%は女性であり、他国同様男女平等に向かって着実に進歩している
- 日本でも女性研究者の比率は上がっているが、16.9%と先進国の中でも低い水準になっている
いかがでしたしょうか?アフリカについてより多く知りたいと思った人はぜひ、他の記事も読んでみてください。
出典
- Female scientists in Africa are changing the face of their continent – Nature
- One in three researchers is a woman – UNESCO
- The State of Female Employment in Sub-Saharan Africa – BORGEN
- Africa’s employment landscape – ILO
- Female dominant occupations – Cross Currents
- Only 1 in 7 Japanese scientists are women: study – Phys Org
- Award Ceremony for Outstanding Female Researchers Tokyo – Teller Report
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