事実:アフリカの人が食べている食料の80%以上はアフリカで生産されています。
皆さんはアフリカの 食料自給率 について知っていますか?アフリカは何も機能せず、他国からの食料やボランティアなどのスタッフによって成り立っている、依存していると思っていませんか?
その認識、実は間違いなのです。
ということで、今回はアフリカの食料における食料自給率について詳しく説明します。
アフリカの 食料自給率 の高さとその理由
アフリカという単語から連想される言葉としては、主に食糧難・貧困・飢餓などがあげられることが多いです。このような言葉が連想される背景には、アフリカにおいての食料自給率の低さ、具体的にはアフリカの国々が他国からの食糧支援無しでは生き抜けないという固定概念が存在していることが深く関係しています。
しかし、ほとんどの日本人が想像するようなアフリカ、つまりはサハラ砂漠以南の国々では、食べている食料の80%以上1は自国内で生産されています。
アフリカは多くの場合、北アフリカとサハラ砂漠以南のアフリカに分けられます。北アフリカというのは、エジプト、スーダン、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、西サハラの7か国を指しています2。サハラ砂漠以南の国々はそれ以外になります。
アフリカの高い自給自足率にはいくつかの理由があり、これらは地理的、経済的、社会的な要因に大きく依存します。主な理由は下記のようになります。
- 伝統的な農業慣行
- アフリカの多くの地域では、伝統的な農業慣行が根強く、小規模農家が家族の食料を生産する自給農業が一般的です。これらの農家は自分たちの食料需要を満たすために作物を栽培しています。
- 土地の豊かさと生物多様性
- アフリカは豊かな土壌と多様な気候帯を持ち、さまざまな種類の作物の栽培に適しています。これにより、多様な食料が地域内で生産されます。
- 経済構造と市場のアクセス
- 多くのアフリカ諸国では、国内市場へのアクセスが輸出市場より容易で、輸入品よりも地元の食品が経済的に手頃であることが多いです。
- 輸入依存度の低さ
- 一部のアフリカ諸国では、財政的制約や貿易の障壁により、輸入食料に頼ることが少なく、地元での生産に重点が置かれています。
- 社会文化的要因
- 地元の食品に対する文化的好みや伝統的な食習慣が、地元生産の食品に対する需要を高めています。
上記のような理由で、これらアフリカ地域では食料自給率が高くなっています。しかし、高い自給自足率が必ずしも食料安全保障や経済的豊かさを意味するわけではありません。
実際、多くのアフリカ諸国では、農業生産性が低く、食料危機や栄養不足が問題になっています。また、自給自足農業はしばしば限られた収入源であり、経済発展のためには農業の近代化や市場へのアクセス向上が必要です。
誤った事実と正しい事実
多くの人々が潜在的にもっている「アフリカは自力で食べていくことができない」という認識は、アフリカに投資する価値がないと人々に思い込ませてしまう可能性があります。
駅のポスターやSNSを通じて私たちが目にするような、極度の貧困に陥った飢えた人々の写真などは偽物ではありませんが、10億人の人口を抱える大陸全体を代表するものではないことを理解する必要があります。食料援助に頼っている非常に貧しい人々もいますが、海外から輸入される食料の多くは実際には必要というよりも選択によるものなのです。
先進国である日本の 食料自給率
一方で、2023年の日本の食料自給率については、農林水産省のデータによると、1965年には70%以上ありましたが、それが最近では40%ほどになっています。
食料自給率が低いということは、国民の生存に欠かせない食料の多くを海外に頼ることを意味します。現在の日本は、1億2600万国民のうち7600万人分の食料が外国まかせという状態です。さらに、このような状態にも関わらず、食料の3分の1が廃棄となっている現状です。
しかし、日本とアフリカを比較した時に、以下3点が日本の強みとして挙げられます。
- 技術と効率性
- 日本の農業は技術が高く、生産性が高い。効率的な農業慣行と先進的な技術の採用が特徴です。
- 食品安全と品質管理
- 厳格な食品安全基準と高品質な生産物により、消費者の健康と安全が確保されています。
- 国際的な食品アクセス
- 世界中から多様な食品を輸入することで、幅広い食文化と多様な食品選択肢を享受しています。
他にも知ってほしいこと
アフリカで主に生産されている食物
アフリカでは主に穀物類や根菜類などが生産されています。それぞれ、次のような種類があります。
- 穀物類
- メイズ(トウモロコシ): アフリカの多くの地域で主食として栽培されています。
- 米: 主に西アフリカと東アフリカの一部で生産され、重要な食料源となっています。
- ソルガムとミレット: 乾燥地域や肥沃でない土地で栽培され、主食や飼料として用いられます。
- 根菜類
- キャッサバ: 耐久性が高く、多くのアフリカ諸国で栽培されています。多用途に使用される重要な食品です。
- ヤムイモ: 特に西アフリカで広く栽培され、様々な料理に利用されています。
- 豆類
- 豆: 灌漑が少ない地域や小規模農家によって広く栽培されています。
- 果物と野菜類
- 地域によってさまざまな果物や野菜が生産されています。特にトマトやマンゴー、バナナなどが一般的です。
- 換金作物
- カカオ: 西アフリカ(特にコートジボワールとガーナ)は世界最大のカカオ生産地域です。
- コーヒー: エチオピアやウガンダなどが主要な生産国です。
- 綿花: 中央アフリカや西アフリカで重要な輸出品です。
- ティー(茶): ケニアは世界でも主要なティーの生産国の一つです。
ちなみに、世界の98%のヤムイモ(ヤマノイモ科の作物)、
51%のキャッサバ(マンジョカ、タピオカとも呼ばれる)、
60%のタロイモ(サトイモ科の作物)がアフリカで生産されています。
逆にアフリカで主に輸入されている食物
アフリカに輸入されている食物は、多くの場合大陸内で生産が難しい食材などが主になります。以下のような食物が主に輸入されています。
- 穀物
- 小麦: 多くのアフリカ諸国では、国内での小麦生産が需要を満たすには不十分であり、大量に輸入されています。
- 米: 一部の国では、国内生産が消費に追いつかず、大量の輸入に頼っています。
- 食用油
- 特にパーム油や大豆油などの植物油が輸入されることが多いです。
- 加工食品
- 様々な加工食品や調味料が輸入されています。
- 乳製品
- 特に乾燥乳やその他の乳製品は国内生産が少ないため、多くの国で輸入されています。
- 砂糖
- 一部の国では国内の需要を満たすために砂糖を輸入しています。
まとめ
正しい情報を身に着け、自らの固定概念をアップデートさせることで、世界を前向きに見ていきましょう。
今日の事実:
- アフリカ大陸の食料自給率は80%以上であり、自力で食べていくことが出来る
- 食料自給率の高さが必ずしも良いとは限らない
いかがでしたしょうか?アフリカについてより多く知りたいと思った人はぜひ、他の記事も読んでみてください。
脚注
- FAO – Food Balance Sheets,
FAO – Food self-sufficiency and international trade: a false dichotomy?,
Gapminder – Important stuff about Africa most people get wrong ↩︎ - Wikipedia – 北アフリカ ↩︎
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