事実:アフリカにおける小学校への出席率は84%です。
皆さんはアフリカの 子ども がどれくらい学校へ行けているのかをご存じですか?多くの方は、アフリカの子どもたちは仕事や家事に明け暮れ、小学校に行くことができないと思っていると思います。
その認識、実は間違いなのです。
ということで、今回はアフリカにおける小学校への 出席率 をご紹介します。
実際は?
アフリカの小学校では、2021年の調整後純出席率は84%でした。これは、過去20年間においての大幅な進歩が背景にあります。過去20年間、小学校年齢(6∼12歳)の在校外の子どもの数は35%減少し、9900万人から6400万人になりました。これは、教育へのアクセス拡大や教育の質の向上による成果です。1
調整後純出席率とは?
調整後純出席率(Adjusted net enrollment rate)とは、ある教育段階において、理論的に想定される年齢グループに属する生徒の合計を、その年齢グループに属する人口の合計によって割ったもの。例えば、日本の子どもは大体6歳~12歳の間で小学校へ入学します。つまり、調整後純出席率を算出するためには、この6歳~12歳の小学生の合計を集計し、その合計を全国の6歳~12歳の子どもたちの合計で割ります。式は以下の通りになります。
(教育機関に属している年齢グループ÷年齢グループの総人口)×100%
あまり難しく考えず、とりあえずこの数値が高ければ高いほど子どもたちは学校に行けてると思ってください!
しかし、依然として多くの子どもたちが教育の機会を得られていないという課題が残っているのも事実です。特に、貧困家庭の子どもや女の子は教育を受ける機会が限られています。例えば、最も裕福な家庭の子どものほとんどが小学校に通っているのに対し、最も貧しい家庭の子どもの出席率は74%に留まっています。2
ちなみに、2021年においてアフリカの子どもの中学校の出席率は約66%、高等学校は約50%でした。3
UNESCOの統計によると、アフリカ全体の高等教育(大学や大学院など)への進学率は約12%で、これは世界平均の32%を大きく下回っています。ただし、この数字はアフリカ全体の平均であり、国によって大きなばらつきがあります。例えば、エジプトでは33%、南アフリカでは20%、ガーナとナイジェリアでは14%、タンザニアでは4%、ニジェールではわずか2%となっています。
認識を変えたほうがいいことは?
日本では、貧困や紛争などネガティブな側面を強調するメディアや報道が多く、教育の機会にアクセスできている子どもたちや、教育システムの改善努力に関する報道は比較的少ないです。また、データの不足や不正確さも、誤った認識を生む要因になっている可能性があり、アフリカの多様性や地域による差異を正確に理解することが重要です。さらに、アフリカの教育システムが4
アフリカの教育システムの一般的な流れ
アフリカの教育システムは国によって異なりますが、一般的な流れは以下のようになります。
- 幼稚園または初等教育前教育(Pre-primary Education): この段階は通常、3〜5歳の子どもたちを対象としています。すべての国で義務教育とされているわけではありません。
- 小学校(Primary Education): 約6〜11歳の子どもたちが通う、義務教育の最初の段階です。基本的な読み書き、算数などの基礎教育が行われます。
- 中等教育(Secondary Education): 小学校の後、中等教育に進みます。これは通常、下位中等教育(Lower Secondary Education、約12〜15歳)と上位中等教育(Upper Secondary Education、約16〜18歳)の二段階に分かれています。ここで学問や技術の基礎を学びます。日本では、この下位中等教育が中学校に相当しており、上位中等教育が高等学校に相当しています。
- 高等教育(Tertiary Education): 大学やその他の高等教育機関に進学することができます。これには学士、修士、博士などの学位プログラムが含まれます。
アフリカで学校に行っていない子は何をして過ごしているのか?
アフリカにおいて、学校に通っていない小学校および中等教育の年代の子どもたちが何をしているかは、地域や個々の状況によって異なりますが、一般的に、以下のような状況が考えられます。
- 労働: 経済的理由から、多くの子どもたちは学校に行く代わりに働いている可能性があります。これには家族の収入を助けるための農業労働や他の形態の労働が含まれることがあります。
- 家庭内の責任: 特に女子の場合、家庭内での責任(家事、育児など)が学校に通うことを妨げる要因となっていることがあります。
- 紛争や不安定な状況: 紛争や政治的不安定、自然災害などにより、教育施設が利用できなくなることがあります。
- 健康問題または障害: 健康上の問題や障害がある子どもたちは、教育へのアクセスが限られることがあります。
これらの要因は、教育へのアクセスを制限し、子どもたちの学校教育を受ける機会を奪うことになります。
Q:日本は?
日本において、2歳児のうち、9%が幼児教育(ECE)に、53%がその他の登録済み幼児教育および保育サービスに在籍しています。3歳児では出席率が89%に上昇し、4歳児では98%、5歳児では97%になります。中学校を卒業した子どもたちの99%が高等学校に進学しています。
高等学校は義務教育ではありませんが、約98%の生徒が高等学校に進学を選択しています。
小学生に関しては学校の出席率に関する具体的な数値はわかりませんでしたが、日本では小学校が義務教育の一部であるため、出席率は非常に高いと推測されます。
これらは、日本の教育システムが全ての子どもたちにアクセス可能で、教育を受けることを国が保証していることを反映しています。
しかし、日本においては不登校になる生徒も多く、現代の社会的・経済的要因が子どもたちの学校生活に与える影響を浮き彫りにしています。小学校と中学校の生徒で、少なくとも30日間学校に行かなかった子どもの数は前年度から22.1%増加し、記録的な299,048人に達しました。小学校での不登校生徒数は29%増の105,112人、中学校では18.7%増の193,936人となり、これらの生徒は全生徒の3.2%を占めました。
まとめ
正しい情報を身に着け、自らの固定概念をアップデートさせることで、世界を前向きに見ていきましょう。
今日の事実:
・アフリカの小学校の出席率は84%で、過去20年で在校外の子どもの数が35%も減少している。
・性別規範が男子に仕事への就労や非合法集団への参加を促しているため女子より男子のほうが出席率が低い場合もある。
いかがでしたしょうか?アフリカについてより多く知りたいと思った人はぜひ、他の記事も読んでみてください。
脚注
- UNICEF DATA on Primary School Age Education ↩︎
- University World News – Quality higher education ‘indispensable’ for Africa’s future ↩︎
- UNICEF Data – Secondary Education and Enrollment Statistics ↩︎
- QS – Africa’s Higher Education Landscape ↩︎
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